『着信あり』の主は友人だった夜中、仕事が終わってからかけ直すとおおよそこんな内容を告げられました。『俺、田舎帰るわ』近所に住んでいたからいつでも会えるという気持ちがあったもので半年、一年と、逆に疎遠になってしまった友人でありました『えっ!?田舎帰ってやることあるの??』『まぁ。知り合いの会社に行こうと思う。』気が動転して、あまりまともなことは話せなかったし、深い理由までは聞けなかった。けれど、僕が思うにもともと都会が好きじゃなかったヤツだったし年の瀬に長年付き合っていた彼女と別れたこと一人で過ごす年末年始にいろいろ考える事があったんだろうな。『いつ?』と尋ねると二週間後だという急な話だったので僕は急いでゆかりの友達に連絡をして田舎に帰る前日に、皆で送別会をやろうと執りつけました。専門学校での仲間たち。オシャレな彼とはよく買い物に行ったし新宿でよく朝まで飲んでいたっけ?そんな昔話をしながら少しだけ変わったのが、あの頃とは違いみんな大人しく飲めるようになった。ガラの悪い飲み方だったから、コレくらいがちょうどいいかもね仲間に一人だけいない人がいました。『アヤっちは来られないんだって。』それもそのハズ。彼の別れた彼女なのだから学生時代からずっとの付き合いでいつ結婚してもおかしない。とてもお似合いの二人だったのに突然別れてしまい『なんで?』と聞いても『特に理由はないけどね』なんて曖昧な答えだった。恋愛とは不思議なもので付き合っている頃は家族よりも友人よりも誰よりも大切な存在なのに別れてしまえばゼロになる。100か、0かなんだよねアヤっちが来ない話にも、『そうか。』と彼は言うだけだった。『あまり遅くまでは飲めない』ということでみんなで駅に向かい見送ることにしました二番線に来る急行を待ちながら、彼がおもむろに財布の中から黄色い紙を5枚ほど取り出して『ひいろ。これ、原宿のあそこの焼肉屋の割引券。最後に使おうと思ってたけど、時間がなくてさ。』『美味いから今度行こうよ!!』って誘われたまま、結局実現しなかった店でした。君はこの都会で、得るものはありましたか?探し物は見つけられたでしょうか?みんなそれぞれ大人になってしまったけれどさよならから始まる日々をお互い強く生きていきましょうそう願いながら一度も振り返らずに二番線の電車に乗り込んだ彼をみんなで手を振って見送るのでした
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